世界中の温帯・熱帯海域から、日本では太平洋側を中心に生息しているキハダマグロ。
本州では和歌山・三重・相模湾を中心に人気が高まり、今から始めてみようと思われるアングラーも多いのではないでしょうか。
しかし、初めてマグロ釣りを志すアングラーにとっては、ロッドをどう選べば良いのか?わからない事だらけだと思います。
そこで、今回はマグロに挑戦するアングラー向けにエリア別のシチュエーションやロッドをご紹介いたします。
【三重・和歌山県海域】串本沖~熊野沖~尾鷲沖
●海域の特徴
太平洋側のキハダマグロは、黒潮の流れ方と水温に強く影響を受けます。
この海域も同様で、最も重要視されるのは“黒潮”と言っても過言ではありません。
キハダマグロを狙える海域は、紀伊半島(すさみ~串本~熊野・尾鷲)がメインエリアとなります。
近年黒潮の大蛇行により今まではそれほどマグロが見られなかった海域でも、比較的長期に渡ってマグロが釣れるような状況も見られます。
マグロのサイズは20~30kg前後のクラスが季節を通しての一般的ですが、大きなものになると60~100kg超級も回遊することがあります。
潮の動きを読み、様々なサイズのベイト(シラス等の極小ベイトからサンマクラスまで)を捕食するマグロを攻略しなければならない、難易度の高い海域です。
裏を返せば、黒潮の動きを予想し“狙って獲る”という釣りの醍醐味を味わえる海域ともいえます。
<BIG TUNA 83 JAPAN SPECIAL使用>
<Aquila MLT 82-3/6使用>
<Aquila MLT 82-3/6使用 Aquila MLTシリーズは、画像の様な角度でのファイトが可能>
●シーズンによるマグロのサイズとベイトの種類
この海域のキハダマグロは夏場とそれ以外の季節ではマグロの引きの強さ、回遊サイズが異なります。
同じ大きさで比較した場合、夏季(7月~8月)は、魚体が引き締まっていることと、水温が高いことが関係して魚の引きが強い時期です。
逆に春季と秋冬期(3~5月/10~12月)は夏季に比べ比較的ファイトが楽な時期です。
特に、冬季はベイトを飽食して脂肪が乗っている事で、マグロの動きが悪くなる傾向があるようです。
この為か、冬季は比較的大型の個体であっても短時間でキャッチできています。
ただし、時には80kg超~100kg級のマグロが混ざりますので油断は禁物です。
次に、捕食しているベイトについてです。
メインとなるのは3~5cm程度~15cm前後のイワシですが、サバやサンマの様な比較的大型のベイトも居ます。
以前は夏にシラスが沸くことも多かったのですが、近年は気候変動によって真冬にシラスが居たりする場合もあり、ベイトの種類を季節で読むことはとても難しくなってきました。
基本的にはベイトも黒潮に乗ってやってくるので、その種類や量も多種種多様であり、狙いを絞りにくくなっています。
<非常に小さいベイト/和歌山県>
【静岡・神奈川県海域】遠州灘~相模湾
●海域の特徴
遠州灘も、初夏~夏にかけてキハダマグロが回遊してきます。
従来、この海域にマグロが居着く事は無く三重~和歌山海域や相模湾に向かうマグロの通過点(釣れ始めても、数日で群れが移動してしまう)という位置づけでしたが、近年の黒潮の大蛇行に伴いこの海域でも比較的長い期間(数週間~1ヶ月程度)マグロが釣れ続ける事が増えてきました。
なお、遠州灘に隣接する御前崎沖の金洲等からもマグロの回遊は見られ、最近ではその方面での釣果も良く聞かれます。
相模湾は都心部から近いこともあり、日本一と言っていいほどの激戦エリアです。
5月頃御蔵島方面へ「黒潮の分流」と「東方から差す分流」が差し始めると、湾内への回遊も間近となります。
利島や大島でマグロの群れが留まってしまい、湾内への回遊が遅れることもありますが、例年6月~10月がシーズンと言われています。
今年は温暖化の影響か、サンマを追い1月にもマグロが湾内を回遊するなどの状況変化もあり、これからの動向が注目されます。
<Aquila MLT 82-3/6使用>
●シーズンによるキハダマグロのサイズとベイトの種類
遠州灘の場合も基本的には三重~和歌山海域と同様の傾向があります。
イワシがメインになる事が多いのですが、サイズについては、その時々で変化します。
また、カツオの群れにマグロが付く事があるのは三重~和歌山同様です。
相模湾の場合は、ベイトサイズと種類が様々です。
一般的には5cm~13cmのシコイワシや10cm~20cmのマイワシ。
潮目には子トビ、モジャコ、ペンペンシイラ、マルソウダ、イカ、サバとバラエティーに富んでいます。
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●ロッド選び
ここからは、この海域のキハダマグロを狙うためにベストと考えている代表的な3機種をご紹介いたします。
※狙うサイズや使用ルアー、別の海域との使い分けやお客様のスタイルなどによりこれ以外の機種という選択もございます。予めご了承ください。
■最初の一本(1本で通年をカバーしたいアングラー向きのモデル)通年を通し一本でこの海域をカバーしたいアングラーには85Fがお薦め。
ただし、小さなベイト(小イワシパターン)などの小型ルアーが必要となる状況では、ラインサイズを落とす必要があります。
また、60kgを超える大型とのファイトの際、無理をせずにいなしながら時間を掛けてのファイトをお薦めします。
※一本で通年をカバーする関係上、特殊な状況下では(対大型・極小ベイト対応・潮の早い状況下など)運用が厳しくなることは予め申し上げておきます
※最初の一本を運用後、追加をご検討の際にはBIGTUNA 83をお薦めします。
一緒に運用することで、カバーできる状況がさらに広がります。
BIG TUNA 85F JAPAN SPECIAL(4-6号程度クラス)
Lure: 18-120g
Line: PE3-6
Drag Max: 10kg/45°
Price: ¥68,000-
<BIG TUNA 83 とBIG TUNA 85Fの静荷重比較>
■最初からフル装備(2本で本格的に攻略したいアングラー向きのモデル)
オールシーズンカバーできる2モデル。
タックル数が増えてしまいますが、取りこぼしのない組み合わせです。
1.Aquila 82-3/6は、シラスパターン等の極小ベイトパターンや神経質なナブラに対する超遠投攻略のために開発されたモデルです。
極小ベイト・神経質なナブラを魚の感知エリア外から比較的ライトなラインと超小型~小型ルアーを使って、シビアな状況においてもアングラーをカバーします。
Aquila MLT 82-3/6(3-6号程度クラス)
Lure: 40-90g
Line: PE3-6
Drag Max: 10kg/45°
Price: ¥63,000-
2.BIGTUNA 83 JAPAN SPECIALは、例えば小型ベイトを捕食するカツオのナブラの中にマグロが混じる状況下での小口径ポッパーを使っての誘い出しや、三重~和歌山海域で冬季にサンマ等を捕食している場合の中~大型ルアーの運用が可能で、引きの強い個体・大型の個体にも負けないリフトパワーを持つモデルになっております。
BIG TUNA 83 JAPAN SPECIAL(4-8号程度クラス)
Lure: 40-150g
Line: PE6-8
Drag Max: 15kg/45°
Price: ¥66,000-
<BIG TUNA 83とAquila MLT 82-3/6の静荷重比較>
<今回お薦めとして取り上げた3機種の静荷重比較>
●最適なラインクラスについて
マグロ類を狙われる方にとっては、どのサイズに何号のラインを使うのが適切か?は悩む部分だと思います。
まず、弊社としての見解ですが「基本的には状況が許す限り、ロッドの設定内で太いPEラインを使う」ことをお勧めします。
これは、太いラインは単純にキャスト・ファイト時のライントラブルのリスクが小さいという点に尽きます。
しかし、昨今のマグロシーンに於いてはそれを許さない状況が多く有るのも事実です。
例えば、太いライン(リーダー)を見切ってしまう場合や、ベイトサイズが小さい(≒スモールサイズのルアーを投げなければいけない)、ナブラが非常に神経質で従来のキャスト範囲では沈んでしまうために大遠投が必要になる等の状況や、マグロ釣りがブームになるにつれて群れがスレてしまう場合が多く、従来よりもシビアな状況が日常茶飯事になりつつあります。
ですので、その場合はやむを得ずライトラインを使用することになります。
この場合、上記で提案した弊社ロッドにおいて100kg未満のマグロに関しては、魚のサイズ(重さ)に対する号数の目安を「PE号数☓10kg程度」と考えています。
例えば40kgのマグロの場合、Aquila 82-3/6+PE4号であれば、ライトラインであってもキャッチはそれほど難しくはないと考えています。
※1 Aquila 82-3/6開発時、三重県にてPE4号で46kgのキハダマグロを約10分程度でキャッチしています。
ライトラインを使用するにあたって守っていただきたいことがあります。
まず、ライトラインであっても、ご使用になるロッドの適合ラインの範囲内に収めることが大前提です。
ロッドの適合範囲に合わないライトラインを使用した場合、マグロの急激な引きに対してロッドが曲がって対応する前にラインが先に限界を迎えてブレイクする可能性が高くなります。
また、ライトライン故にリールのドラグ設定をしっかり行う事は必須となり、その海域の状況等(潮流の速さ等)によりラインの適合サイズは若干変わります。
※2 遊漁船によっては、ライトラインでのファイトを推奨しない場合もありますので、予め船長に確認を取ってご準備ください。
●最後に
以上、海域の簡単な説明と弊社としての最適なロッドのご提案をさせて頂きました。
マグロと戦えるタックルの殆ど無かった10年以上前と異なり、油断は禁物ですが、キャスティングゲームで狙うマグロは現在では手の届かないターゲットではなくなりました。
これが、皆さんのマグロ釣りの一助となれば、私たちも嬉しく思います。
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