日頃よりリップルフィッシャーをご愛顧頂きまして、誠にありがとうございます。
さて、3月も後半に入り春の温かさを感じる事が日に日に多くなってきました。日差しの温かさであったり、早い所では桜も開花していたりと春を感じる要素はたくさんありますが、それ以外に最も「春」と感じることがあります。
それはユーザーの皆様から素晴らしい釣果情報が弊社まで数多く届くようになった事です!
ユーザー様からの釣果報告は様々な魚種で頂きますが、特に驚かされたのがヒラマサの釣果です。外房や九州北部で20㎏オーバーの大マサが多数キャッチされており、本当に驚かされます。釣果写真の迫力は物凄く、そして何よりカッコいいですね!
そこで今回はこれから盛り上がりを見せるであろう「ヒラマサ」についてちょっと話をさせて頂きます。
※個人的な主観も入りますので、ご容赦下さいませ。
ヒラマサとは?
スズキ目アジ科ブリ属に分類される海水魚の一種である。
アジ科の約150種類の魚の中で最も大きくなる個体で、過去には全長2.5m、体重は100㎏に近い個体が捕獲された記録があるようです。
釣りでの世界記録は49.5㎏。(日本沿岸に生息するヒラマサは正確にはアジアンイエローテイル分類されますが、IGFAは北半球に生息するアジアンとカリフォルニアの2種をカリフォルニアイエローテイルに統合した為、49.5㎏のヒラマサは北半球に生息するカリフォルニアイエローテイルの世界記録です。南半球に生息するサウザンイエローテイルの世界記録は52㎏だったと思います‥)
これは2009年10月に千葉県大原港の山正丸様にて釣られたヒラマサです。(ちなみにそのヒラマサをキャッチしたロッドはなんとRippleFisherのAquila76です!)
生息域
ヒラマサの主な生息域は広く全世界の亜熱帯から温帯海域に分布し、日本では、北は北海道から南は沖縄までと幅広く生息しています。海外ではニュージーランドのホワイトアイランド、スリーキングズ諸島などが大マサの魚影の濃さで有名ですね。
生態
ヒラマサが好む水温は18℃~23℃程度で、これはブリよりも暖かく、カンパチよりもやや低めといった水温です。
ヒラマサは回遊魚であるため若魚同士で群れを作るが、成魚になると根に着き、単独又は小さな群れを形成します。
食性はイワシ類・サバ・サンマ・キビナゴ・アジ・カマス・イカ類・トビウオ・シイラなど肉食性で、50㎝にもなるようなサイズであってもでさえ追いかけ回して食べてしまう、かなり獰猛なフィッシュイーターです。水深50~60mの深い海底であっても、ひとたびスイッチが入れば一気に浮上し水面を割ってルアーに食らい付くヒラマサのバイトシーンは、迫力がありアングラーにとって最も興奮する瞬間だと思います。
続いて、ヒラマサの産卵時期は4月~7月とされています。その為、春(3月~5月)は産卵の前に体力をつけるため、浅場に入ってきて活発に捕食をするシーズンです。この時期をヒラマサアングラーの中では「春マサ」といい、特に今の時期からが大型のヒラマサを狙いやすいシーズンに入っていきます!
春マサといえば、最初に思いつくフィールドが、世界記録がキャッチされた「外房」と、世界有数のヒラマサの魚影を誇る五島列島・玄海灘・響灘を含む「九州北部」の海域。この2つのフィールドは春マサを狙うアングラーにとって外すことの出来ないフィールドだと思います。これらは暖流と寒流がぶつかる好漁場でプランクトンが豊富で小魚が集まる事、海底が起伏に富み複雑な潮の流れを形成する事、ヒラマサの住処となる岩礁帯である事など、まさにヒラマサにとって楽園のようなフィールドである事が、個体数の多さや魚体の大きさに影響を与えたのだろうと考えられます。
しかしながら、単純に「ヒラマサフィッシング」といってもフィールドが変わればスタイルも変わるものが釣りの面白さであり、もちろん外房と九州北部では釣りのスタイルは全くの別物であるので、求められるタックルも違ってきます。その中でも今回は、オフショアキャスティングロッドに絞り、リップルフィッシャーのロッドを解説させて致します。
外房
九十九里浜の終点の台東岬から、勝浦付近までが外房と呼ばれ、沖には「器械根」と呼ばれる120㎢に及ぶ、沖合十数㎞、深さ20m前後を中心とした複雑な岩礁地帯が広がります。親潮の冷塊水と黒潮の温塊水がぶつかり合う所でもあり、プランクトンや小魚など豊富な漁場で、海底には、カジメ・アラメなどの海藻が生い茂って海中林を形成し、イワシやアジなどの小魚から、それを捕食するヒラマサなどの大型魚の住処として、たくさんの生命を育んでいます。
天然礁の数は圧倒的で、ひと流しでなんども根を渡っていくといった地形もあるのが外房の特徴で、ヒラマサ釣りの絶好の地形となっています。主にヒラマサ狙いでは20~35m付近の起伏がある根周りが主流であり、比較的シャローのポイントを流します。
外房の遊漁船は大型船で、両舷に乗船し、釣り座固定の場合が多いのでキャスティングでヒラマサを狙う場合は、アンダーキャストがメインとなります。
ベイトサイズは特定はしにくいものの比較的小さい事が考えられるので、使用するプラグのサイズも14~19㎝程度の軽量プラグがメインになります。また、12月~3月の厳冬期はイワシの大群が接岸してくるために、一年で最も極小プラグを使用する機会が増加します。
それらを考慮してロッドは8ft2in以下のアンダーキャストに適したショートロッドであること。軽量プラグを遠投し、アクション入力ができる繊細なティップであることが、快適に使用する上での最低条件と考えられます。
また、10~20名の大人数で出船するために、それに伴いプレッシャーも高くなるので、一番最初にポイントまでプラグを届けるという意味合いで、飛距離もヒラマサを誘い出す上で重要なファクターになります。
使用するライン号数はPe4号がメインですが、サイズに合わせて5~6号、最近では、2~3号までライン号数を落とされる猛者もいるようですね。それ程繊細にアプローチプレッシャーが高いフィールドだろうと認識できます。
まずは、ヒラマサに口を使わせないとキャッチすることは出来ませんので、プレッシャーの高いフィールドでヒラマサを釣るためにはライトライン、極小プラグを使用するというのも、当然の流れかなと感じます。
しかしながら頂戴する釣果報告には3号でも15㎏オーバーをキャッチされる方もいますので、外房アングラーの技術は計り知れませんね。(私の技術ではPe3号で15㎏オーバーは厳しいです。)
ここから外房のスタイルに合うロッドを解説いたします!
Aquila ST 80-4
ST(スタンダード)シリーズの特徴は、キャストフィール、ルアー操作、ファイトバランスという基本性能を高次元にまとめたクセのないシリーズです。その中でも外房のアンダーキャストにも対応するロッドというコンセプトで開発された機種です。もちろんオーバーヘッドキャストの飛距離も出ます。外房で使用される方が多いPe4号にパワーバランスを設定し、使用ルアーは14~18㎝がベストです。ファイト時はキャスト時のハリ感はなく、曲がりの支点が体に近くなることで大マサであってもしっかりとタメるファイトが可能になります。
Aquila MLT 82-2/4・Aquila MLT 82-3/6
MLTシリーズの開発コンセプトはセンシティブなにターゲットに口を使わせる事でした。それには、マイクロベイトパターンを攻略するために極小プラグをストレスなくキャスト~アクションできる繊細なティップ、ベリー。ボートが近づけばすぐに沈む神経質なナブラに対して、遠くからアプローチできる飛距離。そして最もこだわったことが、バットパワーに対して細いライトラインを使用する為、Peラインの強度を限界ギリギリまで活かすことです。
今まではライトライン使用時は、操作性の低下やラインブレイクを防ぐために、ロッドもライトにすることが常識だったと思います。しかしそれでは、口を使わすことができても、キャッチまで必要以上に時間が掛かったり、ブレイクされてしまったりという事が多かったと思います。それは結局ロッドがラインの特性を活かしきれないが為に、ロッドをライトにすることでラインに対する安全率を大きく取らざるを得なかったのであろうと考えました。ではどうしたらロッドの安全率をギリギリまで削ることが出来るのかと考えた所、魚をいなし、暴れさせない事ではないのかと結論付けしました。それをもとにブランクを巻き直し、【・柔軟に曲がるブランク・バットパワーの強化・ロッド全体で曲がり反発することで魚の動きを吸収する・垂直に近い(おおよそ60度)ファイトが可能・ロンググリップ仕様にすることで、更なる飛距離向上、ローポジションファイトによる垂直ファイトの安定性】、これらの特性を組み合わせロッド全体で大きく曲がることで安全率をギリギリまで削ることができ、ライトラインで比較的大型魚と対峙できるロッドになりました。
そしてMLTシリーズは各地でテストを繰り返し、最大の釣果はMLT82-3/6・キハダ47㎏でした。この時の状況は、鳥山ができてもキハダが水面まで出てこない、出てもすぐに沈むなど近くまで寄れない神経質なナブラでした。その為に飛距離重視でラインをPe4号に落とし、ルアーは16センチ50gのプラグにチェンジ、まさにコンセプト通りにキャッチに至りました。ファイトタイムは10分未満で、ファイト時は魚のサイズを20~30㎏程と小さく見積もってしまうほど、大型魚をいなすことが可能なロッドが完成しました。
(※湯浅さま ヒラマサ15㎏オーバー Aquila MLT82-3/6)
(※中澤様 ヒラマサ20㎏オーバー Aquila MLT82-3/6)
MLT用ショートグリップの開発
MLTシリーズは外房ヒラマサで使用するにあたって残念なことが一つだけあり、それはロンググリップ仕様がアンダーハンドキャスト時には長すぎて邪魔になることでした。関東のショップ様の展示会で初めてお客様に見て頂いたときに、グリップが長すぎるとの意見を多く頂きました。
ルアーフィッシングの大半を占めるキャスティングにストレスを感じてしまっては、釣りが成立しなくなるのではないか?それではせっかくブランクに自信があったとしても元も子もないのでアンダーハンドキャスト時に邪魔にならないショートグリップの開発に取り掛かり、急ピッチでテストしまして、こちらは完成間近です。
ショートグリップの全長はMLT82-2/4・MLT82-3/6ともに約704㎜です。もともとのグリップは799㎜なので、おおよそ4インチ短くしております。MLTのブランクをショートグリップにセットすることで全長は7ft11in程度になります。これは波があり上下する船上でも、ギリギリ水面を割らないレングスになり、キャストフィールの向上、振り抜くことで飛距離のアップ、ルアー操作時のダイレクト感が飛躍的に向上しました。(※ショートグリップはオプションパーツですので、別売りです。発売時期:6月 価格未定。)
MLTシリーズはスタンダードのロンググリップでもアンダーハンドキャストは可能です(アングラーの体格や技量によりますが‥)。しかし、胴の間等の有効スペースが狭い所では、どうしても窮屈にはなってしまいます。やはりキャスティングゲームの大半を占めるキャストですので、それを快適に行えないと、大半の方はストレスを感じてしまうと思います。ですので、アンダーハンドキャストメインの方にはMLTシリーズ+ショートグリップのセットをおススメさせて頂きます。
ちょっと長くなりましたので、まずは前編(外房編)として、解説をさせて頂きました。
よろしければ後編(九州北部編)もご覧くださいませ。
【https://ripplefisher.com/blog/kingfish-feature-secondpart-2019-03】