年が明けて1~2月、釣り業界では大型フィッシングショーが各地で開催され多いに盛り上がりを見せます。我々もロッドメーカーとして、横浜から大阪、そして各地のフィッシングショーへ出展しますので、年明け早々慌ただしい時間を迎えます。
このフィッシングショーの期間中のヒラマサキャスティングに話を移すと、厳冬期真っ只中になりますので海水温も下がり切ってしまい、ルアーに反応する個体数はハイシーズンに比べると非常に少なくなってしまうので難しいシーズンと思われ敬遠される傾向にありますが…、
低水温に強い超大型の個体を狙って釣りやすいという、穴場的なシーズンとなるのがこの厳冬期です。
また、ベイトフィッシュもサンマやイカといった比較的ルアーで釣りやすいベイトパターンに当たることも多く、タイミングが合えば記録更新クラスの釣果も期待できる、まさに裏のベストシーズンとも呼べる時期でしょう。
2月前半、いつもはフィッシングショー期間中で、我々もなかなか実釣に行けない時期ではありますが、今年の厳冬期のヒラマサキャスティングは例年以上に良い状況と連絡を受けましたので、居てもたっても居られず、長崎市から出航する「Status」さんへと、スタッフ柿下・野田、そしてフィールドスタッフの深瀬の3人で行ってまいりました。
出航の前日まで厳冬期特有の北西風が強く吹き、時化が続き出船できない期間が一週間続いたため新鮮な情報は得られませんでしたが、つい一週間前まではサンマを追い回す20㎏クラスのヒラマサの群れが多く見られたようで、今回はサンマパターンで活躍するロッドやルアーをメインに準備しました。
■キャスト性能に特化したタックルセッティング
●Aquila ST 85-6 SW 14000XG Pe6号 + 130LB
●Aquila EX 83-6 SW 14000XG Pe6号 + 130LB
●Aquila MST 85-7+ SW 14000XG Pe7号 + 140LB
●使用ルアー:180~250mm / 80~140g程度
神出鬼没な単発のサンマボイルにも即時反応できる軽快さ、キレのあるキャスト性能、遠い場所のボイルを打ち抜く遠投性能が高いモデル。
事前情報で釣れていた20㎏クラスのヒラマサには若干ライトパワーであるが、ヒットゾーンの水深が40~50m程度と深いポイントであるので、正確なキャストアキュラシーや操作性の高さ優先し、今回のメイン機種に据えました。
■大型ベイトパターン攻略に特化したタックルセッティング
●Aquila MST 711-8+ SW 18000HG Pe8号 + 170LB
●Aquila MST 82-9+ SW 18000HG Pe9号 + 200LB
●使用ルアー:220~350mm / 110~280g程度
今回のサンマパターンにマッチした超大型ルアーを軽快に扱え、特大ヒラマサを確実にリフトできるバットパワーを持ったモデル。
大型ルアー特有のシルエットや強波動でアピールし深場から魚を呼び寄せるためのパワーセッティング。また難易度の高いシャローエリアや潮が速い海峡のポイント用。
■春マサシーズンの極小ベイトパターンに特化したタックルセッティング
●Aquila MLT 82-3/6 SW 14000XG Pe6号 + 130LB
●Aquila MLT 82-2/4 SW 8000HG Pe4号 + 80LB
●使用ルアー:160~200mm / 40~100g程度
マイクロベイトパターンを攻略するために使用する極小プラグを繊細かつ丁寧に扱えるモデル。強波動を嫌うセレクティブなヒラマサへのアプローチ用。
九州のヒラマサでメインとなるのは3~4月の春マサシーズンだが、走りの時期のためマイクロベイトパターンの切り替わりも考慮したライトセッティング。
まずは五島列島の東側のポイントへと向かう。
釣行初日は北西風が時折10mほど吹き、海には大きなうねりが入っており足元がふらつくが、トッププラグへの反応も非常に良さそうに見える。
魚探を覗くと良い情報と悪い情報が同時に目に入る。
まず良い情報はというと、サンマではなさそうだがベイト反応がボトムから中層付近まで濃くでており水中は生命感にあふれている。
悪い情報というのは一週間続いた時化によって水温が2度も急激に低下したこと、そして潮流が緩く0.1~0.4ノット程しか流れない状況であるが、強風のおかげで何とか船は流れてくれるので辛抱強くキャスティングを続けることができる。
ここのポイントのヒットゾーンは水深50mからの駆け上がりにつき、飛距離や操作性を優先してPe6~7号のタックルを使用し、サンマパターンで効果を発揮する220~250mm程度のルアーで水面直下をスピィーディーに探っていく。
しかしながらバイトなどの反応は得られず、サンマのボイルも見ることができないため早々に見切りをつけて北のポイントへと移動することとなった。
■サンマパターンに合わせたルアー選択のポイント
30cmを超える大きさに成長するサンマのサイズに合わせた220mm以上のダイビングペンシルが有効です。
泡噛系のポッパーよりもダイペンにバイトが集中すことが多く、さらにはダイペンの中でもスライド幅の広いアクションよりもナチュラルなロールアクションのダイペンを好む傾向が強いと感じます。
さらには高い遊泳力を持ち高速で泳ぐサンマの特徴に合わせた、水面直下をスイミングさせやすい浮力を抑えたダイペンが効果的です。
浮力の高いダイペンでも、スイベルを入れたりフックの重量を重くすることで、水中をスイミングさせやすく安定したルアーアクションを容易に入れることができます。
また、ラフウォーターでルアーを泳がせにくい時は、柔軟なティップを持った『Aquila MST 85-7+』や、ラインスラッグの微調整を入れやすい『Aquila ST 85-6』が相性良好です。
移動を繰り返すが、水温低下の影響か?潮が流れないことが原因か?前情報とは違って全くバイトを引き出すことができない厳しい状態が続く。
Pe6~7号のタックルで丁寧に誘い出しを続けてもこの流れの悪い状況を打破することが難しそうなので、スタッフの柿下が思い切って超大型プラグを軽快に扱える Aquila MST 82-9+ に持ち替えて、30cmオーバーのRST グランドファイナルをセットする。
サンマパターンだと大型プラグを使用することが多いので決して不自然なタックル選択ではないが、今回の状況を鑑みるに、1週間の時化でサンマは抜けてしまったのか、このエリアにサンマがいるかどうかさえ怪しくなってきた。
サンマがいないと考えると春を意識し始めたセレクティブなヒラマサを反応させるためには小型~中型プラグで丁寧にルアーを引いた方がよくも思えるが…、これまでには使っていない超大型ルアーで反応を探ってみる。
直後に答えが返ってきた。15~20㎏のヒラマサが群れでチェイスしてきた。
惜しくもフックアップはしなかったが、ヒラマサ同士でルアーを取り合う様は圧巻だった。
また野田が使っていたAquila ST 85-6 の貝田ルアー ツイスターF5 キメラにもチェイスあった。
こちらも針掛かりはしなかったが連続で反応があったことを考えると、少なからずサンマはこの海域には残っており、まだまだヒラマサもサンマをメインベイトとしていることに確証を持つことができたので、メンバー全員が250mm以上のダイペンをセットすることにした。
しばらくして、夕マズメに差し掛かった上げ始めのタイミング。
深瀬が使用するAquila MST 711-8+ のD-CLAW マリノ260 が着水してほどなくするとヒラマサが群れでチェイスをしてくる姿が見えた。なかなか口を使ってはくれないが…、ラストワンジャークでようやく針掛かりに成功!
ヒットしたポイントは60mから駆け上がりの45m地点。水深も十分にあり、足元からのファイトとなったので深瀬も丁寧にやり取りを行う。しっかりと針がかかった感触を得ると同時に一気にロッドを立ててリフトする。
Rod:Aquila MST 711-8+
Reel:STELLA SW 18000HG
Line:GOSEN Pe8号
Leader:山豊テグス ナイロン170lb
Lure:D-CLAW マリノ260(フック込み 170g程度)
ヒラマサ 15kg
長さの割には重量があり、体高にも厚みのある良型のヒラマサだ。
渋い中ではあったがようやく嬉しい一本を釣り上げることができた。
なかなかバイトを引き出せない時間が長かったが、春マサのマイクロパターンに有効な180mm以下のダイペンや、小型のシンキングプラグ、泡でシルエットをぼかす横引きのポッパーではなく、今回は事前情報の通りサンマパターンに適したアピール力の高い大型ルアーがこの渋い状況を打破するきっかけとなった。
その後はというと、期待していた初日の夕マズメや2日目の朝マズメ、2日目も投げ倒したが、凪倒れの潮なしでバイトを引き出すことができず残念ながら釣行を終えることとなりました。
しかしながら厳しい中にもチャンスは転がっており、今回は潮の上げ始めの僅かなタイミングをものにすることができたことが何よりも嬉しい結果となりました。
今回は事前情報の通りにサンマパターンに効くアピール力の高い大型ダイビングペンシルに好反応でしたが、2日間投げ倒した感触はというと、海の中は春の潮に切り替わる直前であり、ちょうど厳冬期と春マサシーズンの狭間のタイミングだったように思えます。
まだ大型ベイトを意識していたようですが、深場に居つき始めたことや、中層~ボトム付近から群れでルアーをチェイスしてきたことが、まるで産卵前の春のヒラマサを思わせるような行動パターンだったので、今後の釣行は春マサのタックルを準備をして臨みたいと思います。
これから暖かくなるにつれてサンマが抜けて、マイクロベイトパターンに変化していきます。
そうなると今回は出番が少なかったが、マイクロベイト攻略に特化した繊細なモデル 【 Aquila MLT 82-3/6・MLT 82-2/4 】が活躍します。
また大型ベイトのボラも春マサのベイトパターンのひとつなので 【 Aquila 711-8+・MST 82-9+ 】も状況によって必要となるタイミングがあるでしょう。
九州のヒラマサは間もなく本格的な春マサシーズンを迎えます。ベイトを沢山捕食した重量級のヒラマサが狙える特別なシーズンになりますので、皆様も是非チャレンジしてみてください。
今回の釣行分の動画も後日配信予定ですので、楽しみにお待ちください。